2020.04.13

患者数の増加によって人工心肺をはじめとする医療機器の数が不足し、
医師や看護師の治療が及ばなくなる医療崩壊を起こさないことだと高橋氏は語る。

各国のコロナ対策において何より重要なのは、患者数の増加によって人工心肺をはじめとする医療機器の数が不足し、医師や看護師の治療が及ばなくなる医療崩壊を起こさないことだと高橋氏は語る。実際、増え続ける患者に医療が対応できなくなったイタリアでは4月1日現在で1万2418人、スペインでは8189人もの感染者が亡くなり、遺体が病院の廊下にしばらく放置されるという事態まで起こった。それに比べて日本は、3月31日時点で感染者1887人に対し重症者59人、死亡者56人と低い数値にとどまっており、医療崩壊を免れている。日本では間もなく抗体検査(血液検査)が臨床化される見込みとされ、それによって新型コロナの抗体保有者が顕在化すれば感染の真の広がりや集団免疫の獲得状況が明らかになる。また、米国をはじめ各国でワクチンの研究開発も急ピッチで進んでおり、早ければ1年~1年半で実用化されるという。東京オリンピックが開幕する来年7月までには社会が正常化していることを望みたい。「確かに日本で流行している新型コロナは、致死率が数十%のエボラ出血熱や、毎年のように変異して国内で数千人の死者を出すインフルエンザのような横綱に比べれば、幕下クラスのウイルスです。ただ、死亡率が高い欧州の新型コロナウイルスは変異によって大関クラスになっている可能性があるので、楽観はできません」(ビジョンケア代表取締役、高橋政代氏。)

高橋 政代(たかはし・まさよ)
医師・医学博士。1986年、京都大学医学部卒業。92年、同大学院博士課程(視覚病態学)修了。同付属病院助教授、理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクト・プロジェクトリーダーなどを経て、2019年からビジョンケア代表取締役。他に京都大学iPS細胞研究所アドバイザーなど多数の役職を兼ねる。

Jast Access Future(予防医療・健康・美容のJAF)